昔々、国の北に位置する雪のたくさん降るところに、大きな大きなお城がありました。
 そのお城には、吸血鬼とその友達の透明人間が住んでいました。


 あるとき、吸血鬼は一人の人間の少女に出会いました。
 吸血鬼はその少女に恋をしました。
 そして、少女も吸血鬼に恋をして、二人は、愛し合いました。
 
 お城に、住人が一人増えました。
 三人は仲良く、楽しく暮らしました。


 それから数えられないくらいの春、夏、秋、冬が通り過ぎていきました。
 少女は、出会ったころの姿とは変わってしっまていました。
 しかし、吸血鬼と透明人間の姿はまったく変わっていないのでした。
 
 年をとることができるのは人間だけだったのです。

 しばらくして、少女は死んでしまいました。 
 二人は少女のためにお墓を作り、そこに少女の亡骸を埋めてあげました。


 それからと言うもの、吸血鬼は毎日お墓まで行き、涙を流すのでした。
 
 泣いてばかりの友達を見かねた透明人間は吸血鬼に「吸血鬼の眠り」に就くことを薦めました。
 
 吸血鬼は長い永い眠りに就きました。
 透明人間は一人になってしまいました。

 
 一人になった透明人間は何もすることがないので、旅に出ることにしました。
 帰ってきたら吸血鬼にいろいろな話をしてあげるために。
 『今』をおしえてあげるために。
 目覚めた吸血鬼が昔を思い出して、哀しんだりしないように…。


 旅の途中、透明人間はいろいろなことに出会いました。
 聞いたこともないような音楽、見たこともない食べ物、踊り…
 
 世界の半分を見終わったころ、透明人間は壊れた楽器を拾いました。
 透明人間はその楽器を直し、音を出してみました。
 するとその楽器からきれいな音がこぼれました。
 透明人間はその楽器を大変気に入りました。
 
 それからは暇があれば楽器を弾き、周りにいた者たちに弾いて聴かせていました。
 
 
 百年以上の時が経ち、透明人間は旅を終え、お城に戻ってきました。
 吸血鬼はまだ眠っていました。
 しかし、今度は旅には出ず、吸血鬼が起きるのを待つことにしました。

 目覚めた吸血鬼を独りにしないために。

 
 

 長いときを経て目を覚ました吸血鬼は、愛した少女のことを忘れてしまっていました。
 透明人間はそれでもいいと思いました。

 また二人きりの生活が始まりました。

 透明人間は見てきた世界の話を吸血鬼に話して聞かせました。
 拾って来た楽器で音楽を聴かせました。
 
 透明人間は時々、こっそりとお墓を見に行きました。
 誰もいかなくなった寂しいお墓にこっそりと。

 また二人きりの生活が始まりました。
 以前よりも秘密を増やして。
 また、吸血鬼と透明人間の暮らしが繰り返されるのです。







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ポプにはまっていた頃に書いたユーリとスマのお話でした。
Deuilとしてバンドを始めるよりも前の、アッシュなんてまだ生まれてすらないだろう頃の話ってことで妄想してました。
絵本ぽい語り口調にして、挿絵も入れようとしてたんだけど自分の絵の下手さに挫けて諦めたもの(笑

ポプは8~14くらいまでがっつりはまってました。
好きなキャラはDeuilの3人とショウとミサキとポエットだったな~。






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